電動車いすユーザーのaiです。
国内各地を旅して、美しい風景やご当地グルメなどを楽しみながら、車いすで旅する上でのバリアフリー情報や気がついたこと、感じたことをYouTubeで発信しています。
今回は北海道の人気観光地である『青い池』について、バリアフリーとはかけ離れていた2018年以前と、大型駐車場が完備され舗道が舗装される等、大幅に整備された後の現状を車いす目線でチェックしました。
『青い池』はどのように変化したのでしょう。
果して、誰もが利用しやすい観光地になったのでしょうか。
北海道の人気観光地『青い池』とは
青い池って何処にある?
今から10年前に、Apple社の壁紙に採用され、一躍知られるようになったからです。
では、美瑛町っていったい、何処にあるか知っていますか。
北海道は、県庁所在地の札幌市のある道央をはじめ、道北、道東、道南と大きく分けると4つのエリアに分かれています。
『青い池』のある美瑛町は道北エリアにあり、札幌市に次ぐ北海道第二位の人口を有する旭川市の南東約25kmに位置しています。
美瑛町はなだらかな波状丘陵地帯の美しい景観から『丘のまち』と言われ、年間約170万人もの観光客が訪れる町です。
バリアフリーとは無縁だった頃の青い池
筆者が青い池を知ったのは、数年前に遡ります。
当時の青い池は駐車場はあったものの、舗装されていませんでした。
青い池のある場所までは、そこからさらに約7~8分ほど砂利道を歩いて行かねばなりません。
健常者にとっては7~8分の砂利道など、それほどキツいものではないでしょう。
しかし、車いすユーザーや足腰の弱った高齢者、ベビーカーに乳児を乗せたお母さんにとっては、決して楽な道程ではありません。
筆者は現在、電動車いすを利用していますが、当時は松葉づえ使用者だったことから、長距離歩行は困難で自走式の車いすを車のリアゲート開けて収納し、介助者である家族に押してもらう・・・という旅行スタイルでした。
舗装されていない道は凸凹が多く、走行が非常に困難です。
当時の青い池は、『介助する側』も『介助される側』も大変、ストレスのかかる観光地と言えますね。
それでも、『神秘的』『絶景』とSNSなどでも話題となっていた青い池を一目見たくて、出向いたのでした。
青い池は、なぜ青いのか
そもそも青い池は、なぜ青いんでしょう?
一般社団法人 美瑛町観光協会 の観光スポットのページによりますと
十勝岳の防災工事の際、堰堤にたまった水が、不思議なほど青い色をたたえ、立ち枯れのカラマツとあいまって幻想的な風景に。いつしか「青い池」とよばれるようになりました。
と、記載されています。
1988年12月の十勝岳の噴火に伴い、火山泥流を防ぐための防災対策として、美瑛川本流にいくつかブロック堰堤が作られ、偶然にも川の水がたまったそうです。
白金地区にある「白ひげの滝」などから、アルミニウムを含んだ水が流れてくるこの水が、美瑛川の水と混ざると目に見えないコロイドが生成されます。
太陽光が水中のコロイド粒子と衝突し、色々な方向に散乱され、コロイド粒子が光の散乱を促し、波長の短い青い光が散乱されやすいため、その光が青く見えると言われているそうです。
よくこの青い池の色を観て、『入浴剤を入れたような色をしている』と言われる人もいますが、ため池や貯水池とは違い、偶然生まれた美しい人工池なんです。
青い池の色は『美瑛ブルー』と呼ばれ、季節、天候、時間帯によっても変化し、様々な青い色を楽しむことができます。
青い池は、四季折々に、異なる表情を魅せてくれるんですよ!
雪解け水が流れ込む春のはじめは、ピーコックブルー、良く晴れた初夏は、光の加減で鮮やかなコバルトブルーやセルリアンブルーに変化します。
紅葉シーズンの秋は、少し落ち着いた感じの群青色だったりします。
春から夏のよく晴れた日が一番美しいと個人的には思いますので、はじめて訪れる方は天候のよい日を選んでくださいね。
青い池のバリアフリー
では、青い池がどのように整備され変わったのか、チェックしてみましょう。
駐車場整備・障がい者用スペース6台あり
2018年の秋に駐車場や青い池までの歩行ルートが舗装され、利用しやすくなりました。
混雑緩和や観光客の利便性向上を進め、観光拠点として有効活用を図る「白金エリア再構築」の事業化によるものです。
整備後は、8500m²の駐車場は小型車264台、大型車17台のスペースを有し身障者用駐車スペースが、入口近くに6台分設けられました。
6台あると、駐車できない確率が下がるのでありがたいです。
ご近所のスーパーなどへ買い物に行くと、身障者用スペースに対象外の方が平気な顔で停めている場合も多いですが、警備の方が目を光らせてくださると安心です。
駐車料金は砂利道時代は無料でしたが、現在は有料で普通車で500円ほどかかります。(出口にて料金を支払うシステムとなっています。)
観るものは『青い池』しかないのに、駐車料金500円は高いのではないか・・・というクチコミも散見されますが、駐車場使用料は、白金地区の環境整備や維持管理に活用されるとのことです。
500円を高いと思うか安いと思うのかは人それぞれでしょうが、きちんと整備され快適で安全に観光できるのであれば、使用料500円は適切な金額ではないでしょうか。
※参考記事 北海道建設新聞社「青い池への専用道 美瑛町が町道延伸し整備へ」(2017年10月11日)
青い池までのアプローチはどう変わったか
駐車場から、青い池までのアプローチです。
緩やかな上り坂になっており、車いすでも走行しやすくなりました。
ガタガタの砂利道を通行しなければたどり着けなかった青い池も、舗装されたアスファルトになってとても快適になりました。
売店とトイレもオープン
「青い池売店」は9時~17時の営業で、「青い池ソフトクリーム」のほか、「青い池プリン」「青い池サイダー」など青い池にちなんだ商品が販売されています。
キタキツネの描かれたビスケットのアクセントが可愛い人気のソフトクリームは、美瑛町産の生乳を使用した「美瑛牛乳ソフト」、 ラムネ味の「青い池ソフト」、それぞれを組み合わせた「ミックス」の3種類あります(各500円)
ナチュラル風味、サクサク食感のグラノーラコーンを使用しています。
青い池ソフトは色も綺麗なので、インスタ映えするよ!
ソフトクリーム、500円という価格は、完全に観光地価格ですね・・・(高っ!)
多目的トイレも完備されました。
今までは一般のトイレすらなかったのは、驚きです。
一般の観光客にとっても設備が整ったので、観光しやすくなったのではないでしょうか。
トイレは清潔で広さもあるのですが、驚いたことにトイレットペーパーがホルダーになかったんです。(2020.7利用時)
私がトイレを使用した日は、まだ朝の7時台で売店も開店していない時間帯だったので、たまたま・・・だったのかもしれませんが、そうゆうところは気を配って欲しいものです。
眺望が楽しめない車いす専用スペース
途中の撮影スポットに、車いす専用の場所(ビューポイント?)が設けられていました。
2020年の7月に来たときは気づかなかったので、それ以降にできたのでしょうか。
さぞや、ここの場所からだと素敵な写真が撮れるんだろうな・・・と思ったら、残念なことに前方には、観光客の頭が・・・。
皆さん、スペースについて気にも留めていないようでした。
まあ、ひとりひとりのマナーの問題でしょうが、『こちらの正面には立たないでください。』的なボードでも立っていると、ありがたいんですけどね。(かなり控えめな要望です。)
皆さん、こちらから下に降りて池の淵を散策しながら進行できるのですが、段差があるので車いすでは通行できません。
おすすめの写真撮影ポイント
このままアスファルトの舗道を通り、真っすぐ池の見える場所まで歩いて行きます。
ここを通行する方は、ほとんどいません。
奥まで行くと、ようやく青い池に到着です。
車いすでも撮影できる場所はある?
こちらは、2020年7月の7時くらいに撮った画像です。
奥まで行き着けば、車いすでも撮影できるポイントは何か所かあります。
柵の隙間から、ベストポジションを探してみよう!
夏の早朝で天気が良い日は、観光客も少なめで混雑が避けられるので、おすすめです。
土日祝日はかなり混雑しますので、遠方から来られる方は近くの宿泊施設(白金温泉など)に泊まると写真撮影もうまくいくと思います。
新設された展望台
こちらは、2021年10月に訪れた時ですが、夕方近くて天気も良くなかったので、池の色はあまり青くなくて、くすんだ色をしていますね。
展望台が新設されていて、その上からの眺望になります。(同行者撮影)
展望台はほんの少し小高くなってるだけで、眺めはそれほど良くありませんが、美瑛川と青い池を背景に記念撮影を撮るのには適した場所のようです。
青い池を背景に、自撮りしよう!
土地はあるのですから、スロープなど付けていただけると嬉しいんですけど・・・。(あくまでも控えめな要望)
2021年10月紅葉シーズンの青い池については、YouTubeにて公開していますので、アプローチ等も含め、下記の動画でご確認くださいね。
今後もバリアフリーを意識した旅の様子を公開していきますので、チャンネル登録もよろしくお願いします。
おわりに
2018年に駐車場と観光道路が整備され、北海道の人気観光地である美瑛町の『青い池』は、バリアフリー化も進んで、車いすユーザーや歩行困難者等が観光しやすくなりました。
渋滞も緩和され駐車場や舗道も整備されたことで、観光客も増加したと思います。
■バリアフリー化という面で、良くなった点
- 6台分の身障者用駐車スペースが設けられた。
- 砂利道だった道が舗装されて、通行しやすくなった。
- トイレが完備(ユニバーサルトイレ有)
- 売店が完備(旅をする上での楽しみとして)
- 車いす専門のビュースポット?ができた。
■今後、望むこと・期待すること
- 青い池沿いの小道を車いす等で通行できるようになると嬉しい。
- トイレを常に快適に使用できるよう配慮いただきたい。
- 車いす専用のビュースポットをせっかく設けているのだから、それとわかるようにボードなどで表示してほしい。
- 展望台にスロープを付けてほしい。
いろいろ書き連ねましたが、以前はバリアフリーとは無縁だった観光地が、誰もが安心して訪れることができる『北海道を代表する観光地』になったことは嬉しいです。
自然を鑑賞する観光地は、景観の損失とバリアフリー整備との折り合いをつけるのが課題と思われますが、今後もこの『青い池』のように歩行困難者や高齢者が『諦めなくてもいい観光地』が増えてくれることを望みます。
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