中富良野町 ファーム富田 癒しの花園が愛される理由

photo by ai_k 北海道観光地のバリアフリー

こんにちは!電動車いすユーザーのaiです。

今回は、北海道中富良野町の人気の花園『ファーム富田』のレポになります。

カメラ好きな筆者aiの旅のテーマのひとつは、花のある風景の撮影です。

ファーム富田は、園内ではおよそ15haのラベンダーが栽培されているほか、春から秋にかけて様々な花が咲き誇り、訪れる人々を楽しませてくれます。

『車いすでもすべての花園を楽しめるの?』『駐車場やトイレなどの設備はどうなってるの?』など、車いす目線でチェックします。

ファーム富田は、車いすユーザー等歩行困難者でも楽しめる場所なのでしょうか。

ファーム富田の歴史

『富良野』と聞いて、3つキーワードをあげるとしたら、何が思い浮かびますか。

筆者の場合は、『ラベンダー』『北の国から』『美しいガーデン』を思い浮かべます。

ラベンダーとガーデンはちょっと被っちゃってますけど( ̄▽ ̄;)

このすべてのキーワードに関係するのが、『ファーム富田』なんです。

ファーム富田はどのような道を歩み、現在のような人気観光地となったのでしょうか。

ラベンダー栽培の光と影

現在、富良野のラベンダー畑は、北海道の夏を象徴する人気スポットとなっていますが、最初は、観光を目的としたものではなく、化粧品に使われる香料の原料等として栽培されていたそうです。

1897年(明治30年)に北海道の開拓をさらに進めるために「北海道国有未開地処分法」が制定され、北海道への移住者が急増します。「北海道国有未開地処分法」は、開墾に取り組む土地を無料で貸し付け、一定期間内に成功すればそのまま与えるという内容です。

1903年(明治36年)に富田ファーム初代富田徳馬氏が、この中富良野原野に鍬を入れたのが、富田ファームの第一歩となりました。

ラベンダーの栽培は、東京の曽田香料の創始者がフランスからラベンダーの種を入手したのがはじまりで、国内各地(千葉、岡山、北海道)で試験栽培が行われました。

1952年(昭和27年)に中富良野町でも、ラベンダー栽培が始まります。

涼しい気候を好むラベンダーは高温多湿に弱いので、北海道のような寒い気候に向いているのです。

ファーム富田の3代目、富田忠雄氏は21歳の時にラベンダー栽培の先駆者である上田美一氏のラベンダー畑と出会い、その紫の海に心奪われました。

1958年(昭和33年)に念願だったラベンダー栽培を本格的に開始し、10aのラベンダー畑が誕生しました。

それが現在のトラディショナルラベンダー畑です。

 

最盛期の1970年(昭和45年)には、富良野地方全体で230ha以上、約250戸の農家がラベンダー栽培を手がけるようになりましたが、安価な輸入香料の影響等によりラベンダー栽培に陰りが出始め、全国のラベンダー農家は苦境に立たされることになります。

最終的には、日本のラベンダー畑は富良野地方を残すだけとなりました。

1973年(昭和28年)には、香料会社がラベンダーオイルの買い上げを中止。ラベンダーのほとんどが姿を消すことになりました。

ファーム富田も稲作で生計を立てながら、再生の道を模索する日々が続いたそうです。

※参考  ファーム富田の歴史

国鉄のカレンダーに採用され、一躍人気スポットに

1976年(昭和51年)、富田ファームの1枚のラベンダー畑の写真が旧国鉄のカレンダーに採用され、全国に紹介されました。

この美しい風景が注目されて次第に写真家や旅行者などが、ファームを訪れるようになったのです。

ファーム富田の原点であるトラディショナルラベンダー畑は、小高い丘になっている最も高い部分に位置しており、ラベンダー越しに田園風景と十勝岳連峰が一望できる大パノラマの眺望が人気です。

ラベンダーは農作物から富良野観光の中心として、見事に復活したのです。

私たちが美しいラベンダー畑を鑑賞できるのも、こんなご苦労があったからなのですね。

新たなる挑戦

ラベンダー畑が注目を集めるものの、香料作物としてのラベンダー栽培には限界がきていました。

ファーム富田は、ラベンダー栽培の隆盛と衰退とともに歩み続け、ラベンダーの花と香りを活かした農場づくりと商品開発を進めていきます。

・工夫を凝らしたポプリやサシェ(香り袋)の作成

・独自に蒸留を始め、ラベンダーオイルの抽出に成功

・オリジナル香水を製造

・オリジナル石けんを販売

等、ファーム富田の挑戦は続いたのです。

ファーム富田の人気の理由

さて、ラベンダーと共に歩んできたファーム富田ですが、今では大勢の観光客が訪れる人気観光地となっています。

その人気の理由はなんでしょうか。

実際に園内を散策してみましょう。

ファーム富田は、入園料も駐車場も無料

観光施設って、維持するだけでも経費がかかりますので、大抵は料金を支払って入園しますよね。

ファーム富田は入園料が、かかりません。

その上、駐車料金も無料なんです。

駐車場は乗用車500台分の駐車スペースがありますが、ラベンダーシーズンになると週末の日中などはあっという間に満車になります。

花畑と駐車場についてはその24時間開放しているので、明るいうちはいつでも入園・見学できます。

ただし、駐車場での寝泊まりは禁止していますので、車中泊をしたい方は近隣の道の駅などをご利用ください。

隣接する町営駐車場にも100台分の無料の駐車場があります。

民間の有料駐車場も周囲にはいくつかありますが、混雑時は1時間待ちの長い列ができますので、ゆっくり見学するためには出来るだけ朝早く到着されることが望ましいです。

園内を散策してみよう①〜花人の畑・倖の畑エリア

※ファーム富田園内ガイドより

この可愛らしい手書きのイラストが園内全体のmapとなります。

園内全体で、4か所の身しょう者用トイレが完備されているようです。

まず、入園すると迎えてくれる花人の畑です。

春~秋にキンギョソウ、サルビア、ケイトウなど四季折々の花を楽しむことができます。

奥に見えるグリーンハウス(温室)で開園期間中のラベンダーが咲いていない季節でも濃紫早咲を観賞できます。

中央に位置する倖の畑には、ファーム富田の4種類のラベンダー(濃紫早咲、おかむらさき、ようてい、はなもいわ)が咲いています。

ラベンダーでも種類によって色の濃さが違うので、グラデーションが楽しめて、綺麗なんです。

その他、ラベンダーが色づく初夏までにポピーなど可愛らしい花が咲く春の彩りの畑

や、霜の降りる頃まで見頃の続く秋の彩りの畑など開園期間中は様々な花畑の中を散策できます。

この周辺は、路もフラットなので車いすユーザーでも通行が容易なので、安心して回ることができます。

園内を散策してみよう②〜トラディショナルラベンダー畑

トラディショナルラベンダー畑は、倖の畑から道路を渡った場所にあります。

前項でもお話ししたとおり、ファーム富田の原点と言える花畑なので、ぜひ観賞していただきたいのですが、斜面に植えられているため畑の上の方に行くには結構なきつい勾配があります。

車いすユーザーや高齢者で足腰が弱っている方の場合は、上るのは厳しいと思います。

上がればとても素晴らしい風景が見られますので、体力に自信のある方はぜひ十勝岳連峰とラベンダー畑のコントラストを楽しみながら、ラベンダー栽培先駆者たちの勇気と開拓者精神に思いを馳せてみたらいかがでしょうか。

園内を散策してみよう③〜彩りの畑

彩りの畑は、ファーム富田を代表する花畑で個人的にもいちばん好きな風景です。

なだらかな斜面に七色の花が咲き誇ります。

紫のラベンダー、白のかすみ草、赤のポピー、ピンクのコマチソウ、オレンジのカリフォルニアポピーなど鮮やかで、虹のように美しいんです。

絶景です。

見ごろは、7月の下旬の約2週間なので、ぜひその時期に訪れてみてくださいね。

以前は早朝からカメラマンが場所を占領していましたが、現在は三脚を使用することが禁止されているので一般の観光客でも、撮影しやすくなりました。

一部、勾配が少しきつい場所がありますが道は舗装されていますので、慌てずゆっくり行けば車いすでも辿り着けます。

展望デッキのある建物『森の舎」の展望デッキからも彩りの畑を眺めることが出来ます。

木陰で夏でも涼しく、爽やかな風が通ります。

久しぶりに、ラベンダーソフトクリームをいただきました。

コーン 300円(税込) / カップ 250円(税込)です。

以前いただいたときは、香料の味が強い印象でしたが、さっぱりとしていて食べやすかったです。

ソフトクリームは、ほかにバニラやメロン等があります。

販売している舎については、こちらを参考にしてくださいね。

園内を散策してみよう④~お土産などのSHOPの紹介

 

香水の舎です。

入口の前のラベンダー色のスクーターが可愛いですね。

トラディショナルラベンダー畑の目の前にあり、香水を中心に取り扱うショップなどがありオリジナルの石鹸なども取り扱っており、商品を製造する様子を見学することが出来ます。

香水の舎の隣にあるプロシェの舎では、入口でラベンダーの切花を売っていました。

切花はまとめて購入して、ドライフラワーにするのがおすすめ。

良い香りがしばらく楽しめます。

かわいいオリジナルの小物も販売していますので、旅のお土産にどうぞ。

ドライフラワーの舎は、日本で最大規模のドライフラワーアレンジメントの展示スペースがあります。

ラベンダーのドライフラワーを使ったリースなど、素敵なアレンジメントが販売されています。

独特な雰囲気があって、とても素敵です。

アレンジは季節によって、変わるようなのでラベンダーシーズン以外でも楽しめますね。

2015年に光の射すガラス造りのカフェルネが完成しました。

2019年からは、道産食材を使用したこだわりのメニューを提供するバローレ(美瑛町)オーナーシェフ才田誠氏監修のメニューも登場しています。

他にも素敵な花畑やshopがありますので、お時間のある時にゆっくり散策されてください。

なお、YouTubeでも動画を公開していますので、ぜひ観にきてください。

チャンネル登録もよろしくお願いします。

終わりに

今回は、北海道最大級のラベンダー畑を誇る『ファーム富田』を取り上げました。

ラベンダー栽培の歴史について少々触れましたが、並々ならぬご努力があったからこそここまで人気スポットになったのだということを感じました。

ファーム富田の特徴は

  • 入園料と駐車場が無料
  • 園内は概ねバリアフリーで見学でき、ユニバーサルトイレは四カ所ある(一部、車椅子での通行厳しい場所あり)
  • 眺望が素晴らしい
  • ラベンダー畑の他にも季節により様々な花を楽しめる
  • オリジナルグッズが豊富で、お土産選びが楽しい

などですが、最盛期の7月は大変混み合いますので、混雑を避けての早朝に出向かれるのがおすすめです。

北海道の夏は短いです。

厳しい冬を超え雪解けを心待ちしてたように、一斉に咲き誇る華やかな花たちを観に行ってみませんか?

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